イーブイズの小屋

カードで戦うイーブイズの日常

リョウ式ゲッコウガについての解説

f:id:moco470:20160531154906j:plain

…さっきまでの きみは さいきょうの チャレンジャー
そして たったいま さいこうの ポケモントレーナーとして チャンピオンに なったのね

 

リョウさん、福岡Aグループ1位、そしてWCS2016-DAY1の獲得と日本代表決定戦への進出おめでとうございます。

破天の怒り発売の12月中旬から約半年間、ずっとゲッコウガデッキを使い続けてきた彼を一番間近で見ていたので、優勝を決めたと聞いたときは「おめでとう」という感情より「おっようやくか」という言葉が先に浮かびました。

デッキについて黙して語らずという姿勢はトッププレイヤーの証ですね。でももこさんは過激派なのでその全貌を記事にして公開してみようと思います。

リョウ式ゲッコウガとは

リョウさん(@molmol_poke)が考案した手札干渉系サポートを主軸にしたゲッコウガデッキです。

本人の優勝報告ツイートからもわかる通り、ジャッジマン+エリートトレーナーの採用によって相手を事故らせつつこちらは展開する、というコンセプトがデッキ構築の根底にあります。どんなに強いデッキ、どんなトッププレイヤーでも、事故れば動けなくなるというのが一番の強みです。

デッキレシピは本人のブログをご確認ください。

ジャッジマンというカード

このデッキのキーカードです。先行1ターン目にジャッジマンを打つことで、強制的に相手は手札5枚で盤面を解決しなければならないという状況を作ります。山札圧縮率の低い序盤で相手の事故を誘発できるのがジャッジマンの大きな強みであり、こちらは解決時の要求カードの少なさから事故りにくいという優位点があります。

またf:id:moco470:20160320145955p:plainオクタンを採用している理由も、f:id:moco470:20160408134644p:plainハイパーf:id:moco470:20160320151913p:plainダイブf:id:moco470:20160121112820p:plainレベル何れかのボール1枚で盤面を解決できるというジャッジマンとのシナジーを考えているためです。(よく見るゲッコウガ+オクタンという組み合わせは決して相性の良いものではないということを断言しておきます)

エリートトレーナーというカード

ゲッコウガは中盤以降に殴るデッキであるため、試合開始後の2~3ターン中にバトル場のf:id:moco470:20160517152718p:plainケロマツおよびf:id:moco470:20160531111737p:plainゲコガシラが少なくとも1匹はきぜつします。サイドに差がついたタイミングでエリートトレーナーを打つことで、早い段階から相手の速度を遅らせることができます。

Nでは返しのターンに相手に与えてしまうアドバンテージが大きいため、事故を誘発させるというコンセプト的にもゲッコウガと非常に相性の良いサポートです。

対オカルトマニアについて

ゲッコウガへの対策カードの筆頭は間違いなくオカルトマニアだと思います。しかし、このデッキでは上記のジャッジマンとエリートトレーナーを連打することで、引いてきたバトルサーチャーをドローに回さなければならないという状況を作っています。

5枚以下の手札でポケモンを育てつつオカルトマニアを打てるシーンはごく少ないため、オカルトマニアを打てる、けど打つと事故るというジレンマを生み出すことでオカルトマニアの対策をしています。

ジラーチというカード

今でこそ種々のゲッコウガデッキにジラーチが投入されていますが、それらの採用理由はf:id:moco470:20160408162035p:plain夜の行進・f:id:moco470:20160408162531p:plainビーゾロ悪・f:id:moco470:20160409100712p:plainジガルデ闘と特殊エネを使う環境トップの構築に対しての誤魔化しが第一だと思います。実はこのデッキではジラーチ採用への道筋は環境メタではありませんでした。

昔むかしあるところに、リョウという少年がいました。
1月下旬、リョウはヨルノズクBREAKバトルに参加しようと、ウキウキしながらジムバトルに訪れました。するとある日のこと、オカルトマニア~エメラルドブレイク~。大きな声を上げてもこさんがやってきたではありませんか。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
こうして6ターンオカルトマニアを打たれたリョウさんは、ゲッコウガで手裏剣を打つ暇もなく白レックウザに蹂躙されたそうな。めでたしめでたし。

こうしてジラーチの採用が確定したわけです。結果的に環境に刺さる形になりましたが、当初は白レックのような二子玉依存の高速高打点デッキに対するメタカードという理由でジラーチが入っていました。

ハイパーボールというカード

大概のどのデッキにも入っているであろう万能サーチ系のボールですが、ゲッコウガデッキにはf:id:moco470:20160320151913p:plainダイブボールf:id:moco470:20160121112820p:plainレベルボールという互換カードがあるため、ハイパーボールを採用していないタイプのゲッコウガデッキも多々あると思います。

このデッキにおけるハイパーボールの役割は①ゲッコウガのサーチ疑似的なバトルコンプレッサー(山札圧縮)の2点です。このデッキは任意にトラッシュにカードを送る手段がありません。そのため、ボールとしての効果に加えて、中盤以降腐るサポートや進化元のf:id:moco470:20160517152718p:plainケロマツを能動的にトラッシュに送れるハイパーボールは、序盤の展開から終盤の詰めまでのあらゆる場面で有効なカードになります。

デッキの動き方について

初ターンの理想形はバトル場にf:id:moco470:20160320145958p:plainケロマツ、ベンチにf:id:moco470:20160320145958p:plainケロマツ+f:id:moco470:20160320145954p:plainテッポウオ→ジャッジマンの動きをすることです。後ろのケロマツはf:id:moco470:20160320150000p:plainゲコガシラを2体以上山から引いてきたとき、もしくはスプラッシュエネで手札に進化ラインが戻ってきたときに即進化できるよう必ず1体立てておきます。また、ケロマツは相手に差し出すカードとしても有用ですし、あわで50%の確率で攻撃を受けないのも優秀です。

f:id:moco470:20160531114751p:plain

中盤以降はf:id:moco470:20160320150000p:plainゲコガシラがみずぶんしんしながら、とにかくジャッジマンとエリートトレーナーを連打して、f:id:moco470:20160121112824p:plainサーチャーを無駄に使わせる、或いは意図的なサポ事故を誘発させます。相手が事故ったら極力サポートを打たずに、ボールとf:id:moco470:20160320145955p:plainオクタンのドローのみで盤面を解決します。このデッキでは火力の大半をゲッコウガBREAKの手裏剣に頼っているため、殴れるゲッコウガが育ちきるまでは妨害札とあわで耐え凌ぎます。

終盤は手裏剣をひたすら投げてサイドを巻き返していきます。手裏剣60→手裏剣60→手裏剣30→鉢巻げっこうぎり100で最大250ダメージを場全体に与えることができるため、2〜3体を同ターンで倒しきれるのが強みです。また、すごいつりざお4投によって、終盤に山札の半分以上を水エネルギーにすることで手裏剣の連打を容易に実現しています。

f:id:moco470:20160531113210p:plain 

カメックスメガバトル福岡大会 クライマックスステージの様子

決勝卓の様子を動画で撮って貰っていたようなので、本人の許可とともに掲載いたします。Aグループ2回戦目、たなきよさん(@tnky_live)のオーロットとの1戦です。

ゲッコウガの対策について

f:id:moco470:20160531112648p:plainダストダスを入れる

火力の大半を手裏剣に依存しているため、永続的な特性ロックが非常に有用です。また、ベンチ狙撃できる優位点を過信してフラダリを入れていないゲッコウガも多いので、置物のダストダスは処理されないものと見て大丈夫です。またフラダリをされてもゲッコウガは通常、特性なしに100ダメージ以上を叩き出せないため、かるいしで逃げれば問題ありません。

このデッキでもピン刺しのびっくりメガホンとフラダリ→鉢巻げっこうぎりの2パターンでしかダストダスを倒せないので、ゲッコウガが辛いデッキはピンラインでもダストダスを入れることをオススメします。

f:id:moco470:20160408162548p:plainMジュカインを使う

古代能力:Θストップを持つMジュカインは、擬似的にゲッコウガの特性を封じている上、弱点ジャギドセイバーでゲッコウガBREAKをワンパンできるため非常に有利なデッキです。ただし、上手なゲッコウガだとフーパとシェイミをベンチ狙撃してサイドを取ってくるので、上記の2体は出さずにMジュカインを育てなければいけません。

現環境ではゲッコウガが多く、草弱点であるジガルデ闘も一定数いるため、Mジュカインは環境に適応しているデッキと言えます。

f:id:moco470:20160409100140p:plainf:id:moco470:20160409100656p:plainゲッコウガBREAKを連続的にワンパンする

高耐久かつ数ターン連続して170を叩き出せるデッキはゲッコウガが地味に辛い相手です。スプラッシュエネを採用していない場合、ゲッコウガBREAKの立て直しが利かない構築が多いため、コンスタントに大ダメージを叩き出せるゲノセクトやダークライが有効です。

ただし、前者はドータクンの特性、後者は小イベかPPマックスでエネを加速するので、相手のゲッコウガが育ち切る前までの2~3ターン以内に盤面を整える必要があり、育成速度はかなりシビアになります。

f:id:moco470:20160409095426p:plainf:id:moco470:20160517164323p:plain初手グッズロックする 

ゲッコウガはポケモンの展開をミツル→みずぶんしんf:id:moco470:20160531111737p:plainf:id:moco470:20160531111737p:plainf:id:moco470:20160531111737p:plainかボールに頼っているケースがほとんどです。そのため、オーロットとラフレシアのグッズロックが非常に良く刺さります。ちなみに前線で戦うオーロットBREAKはゲッコウガのげっこうぎりで2発圏内なので、控えのオーロットを育てておく必要があります。

f:id:moco470:20160114105650p:plainf:id:moco470:20160525171900p:plain1ターン目にガン回す

再三言っているように、ゲッコウガは後半巻き返し型のデッキなので、サイド差を大きく引き離してしまえば逆転圏内に入りません。1ターン目にガン回して2ターン目以降相手を継続してワンパンし続けられる白レックウザなどはサイドレース的に可能性があります。ただし、使用済みのシェイミやフーパなどの置物をしっかりケアするカードを握っておく必要がありますし、ジラーチやクセロシキによる妨害も考えてプレイングを行わなければなりません。

 

と、上記に挙げた通り「ゲッコウガに勝ちやすいデッキ」は多種ありますが、リョウ式ゲッコウガは連続的に手札操作することによって強引に勝ち筋を生み出すため、対策のしようがないという点で他のゲッコウガと一線を画します。もちろんゲッコウガ本来の持つカードパワーを落とすことなくデッキ構築がされているため、個人的などのゲッコウガよりも完成度は高いと思っています。

プレイングに幅があり、クセの強い玄人向けのゲッコウガですが、ハマると無限に勝ち続けられるとても強力なデッキです。興味があれば是非組んでみてください。